【債務整理】任意整理のやり方(まとめ)
債務整理の基本的な対応法は、任意の対応法と法的な対応法の2つに大別されますが、今回は任意の対応法についてご説明します。
【任意の対応法】
① 現在の借入先に任意で返済額を振り込み続ける
② 他の金融機関で借り換えて弁済する場合
③ 弁護士に依頼して「任意整理」を行う
上記で「弁護士に依頼して」と記載した方法は、弁護士に依頼しなければならない取組みで、当然弁護士費用が必要になります。しかし、必ずしも弁護士に依頼する必要はなく、自分でも出来る人もいます。自分では難しそうだと言うことになれば弁護士に依頼することになります。
なお、債務の額が140万円を超えていない場合は、司法書士に依頼することも出来ます。
債務の額が140万円を超えるかどうかの判断基準は、債務の総額が140万円以内であれば問題有りませんが、複数債務の内1件でも140万円を超えるものがあれば司法書士では扱えなくなるというものです。
司法書士には訴訟支援業務と言うことで140万円を超える案件に取り組むケースもあるようですが、その可否についてはよくご検討下さい。
では、それぞれを詳しくみていきましょう。
任意の対応法
①現在の借入先に任意で返済する場合
特別なことは何もなく、期限も定められず、現在利用しているローン口座に自分の都合の良いときに支払いたい金額をATMで入金するだけです。
ただ仮に100万円の残高があると1ヶ月間の利息は最大12500円(年利15%の計算)になりますので、最低でもそれ以上入金しなければ元金は減少しません。
しかも残高が100万円未満になると最高税率は18%になりますから、99万円のときの月刊支払利息は最大14850円になります。従ってそれ以上の支払をしないと元金は減少しません。
【利息制限法】
利息制限法では貸出金利の上限を次のように定めています。
元本が10万円未満の場合、年利20%
元本が10万円以上100万円未満の場合、年利18%
元本が100万円以上の場合、年利15%
個別の貸し出しに対する利率は上限の利息制限法の範囲内でそれぞれの貸金業者毎に異なっています。自分が利用している借入の金利がいくらなのか確認して下さい。利息額の計算方法は次の式で計算できます。
【利息額の計算方法】
元本 ☓ 適用利率 ☓ 利用日数 ÷ 365 = 支払利息額
例えば100万円を年利14.5%で32日間利用した場合は、
1,000,000円 ☓ 0.145 ☓ 32 ÷365 = 12,712円
②他の金融機関で借り換えて弁済する場合
一部の金融機関では資金使途自由のローンを取り扱っています。
条件は各金融機関で異なっていますが、利率については金融会社より低くなっています。仮に利率が5%低くなると100万円の残高に対して年間支払利息は5万円減少しますから、本気で返済を考える場合は大変有利になります。
また、複数の金融会社からの借入があり、毎月の返済額が決まっていて、その総額が自分の負担できる金額を上回っている場合は、特定の金融機関で借り換えすることによってその負担を大幅に減少させることが出来ます。
【借り換えによって返済額を減少させることができる例】
借入総額100万円で下記の3社から借り入れがあった。
A社・・・残高50万円で毎月3万円返済
B社・・・残高30万円で毎月2万円返済
C社・・・残高20万円で毎月1万円返済
↓
D社1社に借り換えすることで、月々の返済を減らします。
D社・・・・毎月2万円返済(50か月)
この方法を利用すると、毎月の返済額は減少し、かつ利率も低くなって、返済の負担はかなり軽くなりますが、その代わり返済期間は長期化します。上記の例で言うと最長で20ヶ月で完済(C社)することになっていましたが、借り換え後は50ヶ月かかることになります。
ただし、使途自由のローン商品があったとしても他の債務返済充当を認めている場合と認めていない場合があり、融資上限も300万円から500万円、債務者の条件によって低くなったり、融資自体が認められない場合があります。また返済条件も融資期間5年で、毎月の元金均等払いという制約がつくこともありますが、本気で返済しようと考えているのであれば一定の制約があった方が良いのかも知れません。
もし本気で借金生活からの脱却を考えているのであれば、地元の金融機関のホームページなどで借り換え可能なローンの設定が有るのかどうか確かめ、もし設定があれば相談してみるのも悪くない方法だと思います。債務整理の方法としては最もハードルが低く、債務者にデメリットのない方法だと言えます。
③任意整理をする場合
現在の借入金で利息制限法以上の金利を支払っている場合に、弁護士・司法書士に交渉を依頼して、利息制限法を超える過払い利息額を残元本に充当したり、将来利息の免除を求める方法です。
この方策では「個人再生」や「自己破産」などの法的整理と異なり、特定の債権者のみとの交渉が可能だったり、官報に氏名が掲載されたり(「個人再生」「自己破産」の場合は掲載される)することがありません。ただし業者側の信用情報には5年間氏名が掲載されますので、その間の新たな借入は出来なくなります。
この方策のデメリットは弁護士・司法書士への報酬が発生すること、債権者が必ずしも応じてくれるとは限っていないこと、この交渉期間中の強制執行を防げないことなどがあります。弁護士・司法書士への報酬は事前に直接お尋ね下さい。目安としては解決すべき債務額の2~3割程度だと考えて頂ければ良いと思います。
この方法を採用するよりは弁護士・司法書士へ「過払金返還訴訟」の申し立てを依頼する方が問題解決は早いと思われます。